2014年12月13日土曜日

日本音楽理論研究会第15回東京例会(12月14日)のお知らせ

Announcements:
The 15th meeting of SMTJ Tokyo branch
14. December 2014


関係者各位 (拡散希望)

今回、お知らせが大変遅れましたが、毎度お馴染み日本音楽理論研究会より「第15回東京例会」のお知らせです。みなさまはいかがお過ごしでしょうか?
発表概要はホームページ・ブログ等をご覧ください。音楽関係者のみならず、幅広いみなさまの奮ってのご参加をお待ちしております。
なお、当日資料準備のため、ご出席の場合はご一報いただければありがたく存じます。また、研究会終了後の、「シュベール国立店」で行なわれる懇親会は毎回議論が白熱しております。こちらからのご参加も歓迎いたします。

★★★ 日本音楽理論研究会第15回東京例会のお知らせ ★★★

日時: 20141214日(日)12:30-17:50 (1210 受付開始) 
(※ 注意: 開始時間が1時間早くなっています!)

会場: 国立音楽大学AI(アイ)スタジオ 
(JR
国立駅南口下車、国立音楽大学付属幼稚園地下) 
186-0004 東京都国立市中1-8-25 TEL: 042-573-5633

参加費: 一般¥2000/学生¥1000 

■ 開会宣言 島岡譲(日本音楽理論研究会会長)

■ 3分プレゼンテーション(発表者全員) 12331245

■ 発表1: 
阪本佳郎: 「トニ・ガトリフの映像詩学における音楽の位相 ——ジプシー・アイデンティティの表象を軸として——」(30分発表) 12451315  質疑応答13:1513:30

■ 発表2: 見上 潤 「プッチーニ《蝶々夫人》よりアリア「ある晴れた日」の分析」(70分発表) 13:3014:40 質疑応答14:4014:55 ソプラノ独唱: 小川えみ(当会専属歌手) 

■ 会からの連絡、および休憩15

■ 発表3: 
Neralt 「サンプリングカルチャー、DJカルチャー以降の音楽家のための実践的な音楽理論書」である自著Traditional Music Theory For Contemporary Musicians』執筆の動機と特徴の紹介」(30分発表) 15:1515:45 質疑応答15:4516:00 
 
■ 発表4: 福田 由紀子 「「ゆれ」と「かげり」から見たChopinの「前奏曲集 作品28」 ―楽曲構造とピアニズムの分析― その2 (No.2,5,16,21)
 (90分発表) 16:017:30 質疑応答17:3017:45

■ 懇親会 (1800-) 「シュベール国立店」 参加費\2000

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  ★ 今後の予定 (常時発表者募集中)

 【予告なく日程・時間・内容等を変更する場合もありますので、常に最新情報をHPなどでご確認ください。】

☆ 16回東京例会 2015329日(日) 13301745

■ 佐原詩音 タイトル未定
■ 池原舞 「ストラヴィンスキーの作曲法ーー五線紙の切り貼りをめぐって」
■ 
三浦領哉 タイトル未定(ロシア音楽に関する発表)
■ 寺内克久 (タイトル未定(ユーミンに関する発表)
■ 川本聡胤 タイトル未定(J-Popに関する発表)

■ 他、未定

☆ 26回例会 2015517日(日) 13301745

■ 
今野哲也 タイトル未定 (ベルクに関する発表)
■ 夏田昌和 タイトル未定 (
生演奏付きSchumannの子どもの情景の「子どもは眠る」と自作曲の「よく眠るための内気なセレナーデ」)
■ 他、未定

☆ 27回例会 2015104日(日) 13301745

■ 
川崎瑞穂 「竜笛独奏曲 芝祐靖《一行の賦》の分析」
■ 岩河智子 タイトル未定

■ 他未定
☆ 17回東京例会 20151213日(日) 13301750

■ 福田 由紀子 「「ゆれ」と「かげり」から見たChopinの「前奏曲集 作品28」 ―楽曲構造とピアニズムの分析― その3 
■ 他、未定


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日本音楽理論研究会事務局(本部)
Secretariat of THE SOCIETY FOR MUSIC THEORY OF JAPAN 
Email: TEL &FAX 097-545-4429
870-0833 大分市上野丘東1-11 大分県立芸術文化短期大学音楽科 小川研究室気付

日本音楽理論研究会東京支部
Tokyo branch of THE SOCIETY FOR MUSIC THEORY OF JAPAN
Email: 見上潤 (Mikami Jun)

2014年9月11日木曜日

日本音楽理論研究会第25回例会(10月5日)のお知らせ

Announcements:
The 25th meeting of SMTJ
5. October 2014


関係者各位

猛暑の夏をくぐり抜け、今や朝晩肌寒くすっかり秋の装い東京より、毎度お馴染み日本音楽理論研究会より「第25回例会」のお知らせです。みなさまはいかがお過ごしでしょうか?
今回は、バルトークの分析の他、自作曲の分析、自著の解題と、作者自身による発表が3件です。発表概要はホームページをご覧ください。音楽関係者のみならず、幅広いみなさまの奮ってのご参加をお待ちしております。
なお、当日資料準備のため、ご出席の場合はご一報いただければありがたく存じます。また、研究会終了後の、「シュベール国立店」で行なわれる懇親会は毎回議論が白熱しております。こちらからのご参加も歓迎いたします。

★★★ 日本音楽理論研究会第25回例会のお知らせ ★★★
日時: 2014105日(日)13:30-17:50 (1310 受付開始) 
会場: 国立音楽大学AI(アイ)スタジオ 
(JR
国立駅南口下車、国立音楽大学付属幼稚園地下) 
186-0004 東京都国立市中1-8-25 TEL: 042-573-5633
参加費: 一般¥2000/学生¥1000 

■ 開会宣言 島岡譲(日本音楽理論研究会会長)

■ 発表1: 
平本 幸生 「自作曲の分析と、ブルーノート・ペンタトニックスケールについて」(30分発表) 13351405  質疑応答14:0514:15

■ 発表2: 石川 智寛 「バルトーク『ルーマニア民族舞曲』sz.56より第2曲「帯踊り」の機能和声理論による分析」(40分発表) 14:1514:55 質疑応答14:5515:05 

■ 会からの連絡、および休憩15

■ 発表3: 
夏田 昌和 「自作曲 <2種の形象によるコンポジション ~J.S.B.へのオマージュ~> (2013)の分析」(80分発表) 15:2516:45 質疑応答16:4516:55 
 
■ 発表4: 
小川 伊作 「新しい楽典の試み~『ギター譜で学ぶ新楽典』~著者自身による解題」 (40分発表) 16:5517:35 質疑応答17:3517:45

■ 懇親会 (1800-) 「シュベール国立店」 参加費\2000

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  ★ 今後の予定 (常時発表者募集中)
 【予告なく日程・時間・内容等を変更する場合もありますので、常に最新情報をHPなどでご確認ください。】

☆ 15会東京例会 20141214日(日) 13301745 
■ 福田由紀子 「「ゆれ」と「かげり」から見たChopinの「前奏曲集 作品28」 ―楽曲構造とピアニズムの分析― その2 (No.2,5,16,21)」 
■ 今野哲也 タイトル未定(ベルクに関する発表) 
■ 他未定

☆ 16回東京例会 2015329日(日) 13301745
■ 見上潤 「現代音楽を予言したウラジーミル・オドエフスキー ――『ロシアの夜』(1840)をめぐって」
■ 寺内克久 タイトル未定(ユーミンに関する発表)
■ 他未定

☆ 26回例会 2015517日(日) 13301745
※ 発表者募集中

☆ 27回例会 2015104日(日) 13301745
■ 
川崎瑞穂 「竜笛独奏曲 芝祐靖《一行の賦》の分析」
■ 岩河智子 タイトル未定
■ 他、未定
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日本音楽理論研究会事務局(本部)
Secretariat of THE SOCIETY FOR MUSIC THEORY OF JAPAN
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870-0833 大分市上野丘東1-11 大分県立芸術文化短期大学音楽科 小川研究室気付

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2014年5月2日金曜日

日本音楽理論研究会第24回例会 発表概要 川崎瑞穂

ロシア構造言語学と音楽分析
―― 奥秩父山地の民俗音楽に関する音韻論的研究 ――
  

 発表者の方法論的視座である「構造人類学」は、ブルバキの現代数学やフロイトによる無意識の探究、モースによる全体的社会事象の研究、さらに、ソシュールやヤコブソンの構造言語学などを母体としている。ソシュールは「ラング/パロール」や「シニフィアン/シニフィエ」といった概念により、構造論的分析の基礎を築いたが、彼を継承したロシアの言語学者たち、中でもヤコブソンやトルベツコイといった、プラハ言語学派の中心人物たちは、言語を音素に還元して分析する「音韻論」を確立した。

レヴィ=ストロースはこの「音素」を「神話素」と読み換え、音韻論を神話学に応用したが(『神話論理』ほか)、音韻論的手法は、日本音楽、とりわけ囃子の分析にも有効であると、発表者は考えている(拙稿「伝統芸能の構造分析試論―「料理の三角形」理論の実践的応用―」『藝能史研究』第200号、2013年、参照)。本発表では、音韻論的観点から先学の音楽分析理論について検討すると共に、「旋律概形線」の理論を用いた音韻論的分析の可能性について考察する。

また、今回はその分析の応用例として、長年調査を続けている、埼玉県秩父市旧荒川村の「神明社神楽」を採り上げる(神明社神楽については拙稿「オーラル・ヒストリーから読み解く秩父市荒川白久「神明社神楽」の古層信仰」『日本オーラル・ヒストリー研究』第9号、2013年、参照)。発表者は2012107日の日本音楽理論研究会第21回例会において、千葉県に伝承されている、幕末の鼓笛隊の影響があるとされる民俗芸能「オランダ楽隊」の音楽の構造論的分析を行った(「洋楽渡来と野生の思考(パンセ・ソバージュ)洋楽流入期における民俗的思考に関する構造人類学的研究―」)。


神明社神楽の囃子には、オランダ楽隊の囃子に頻出する旋律が挿入されている。発表者は2012121日の東洋音楽学会・東日本支部第68回定例研究会において、「旋律概形線」の理論を用いて、神明社神楽の全楽曲(22曲)の分析を行い、13個の音型(音素)を析出したが(「秩父市旧荒川村の《道引はやし》に関する構造人類学的考察―神明社神楽の楽曲分析を中心に―」)、この分析の妥当性を証明するように、オランダ楽隊に由来する旋律だけは、全く音型を共有していないのである。本発表は、音韻論的音楽分析の可能性を指摘するのみならず、発表者による前述2回の研究発表における分析を検証・理論化する試みであるともいえよう。

日本音楽理論研究会第24回(5月18日)例会のお知らせ

Announcements: The 24th meeting of SMTJ /18. May 2014/

関係者各位

暦はまもなく立夏。こちら東京は新緑が目に眩しい季節になりつつありますが、みなさまはいかがお過ごしでしょうか?

毎度お馴染み日本音楽理論研究会から、第24回例会のお知らせです。
今回の例会は「ロシア」をテーマに取り上げました。ロシア構造言語学の音楽分析への応用、ストラヴィンスキーのロシア語の声楽を伴ったバレエ音楽の分析、スクリャービンの神秘和音と、合計3件の発表に加え、ミニコンサートも行います。発表概要は順次ホームページ等で発表の予定です。

◆ 第24回例会のページ(発表概要および関連情報)
http://www.geocities.jp/dolcecanto2003jp/R/reikai/honbu/24_140518/o/24_oshirase.htm
◆ 日本音楽理論研究会東京支部ブログ
http://smtjt.blogspot.jp/

音楽関係者のみならず、幅広いみなさまの奮ってのご参加をお待ちしております。
なお、当日資料準備のため、ご出席の場合はご一報いただければありがたく存じます。
また、研究会終了後の、「シュベール国立店」で行なわれる懇親会は毎回議論が白熱しております。
こちらからのご参加も歓迎いたします。

★★★ 日本音楽理論研究会第24回例会のお知らせ ★★★

   【ロシア音楽特集】

日時: 2014518日(日)13:30-17:50 (1310 受付開始) 
会場: 国立音楽大学AI(アイ)スタジオ 
(JR
国立駅南口下車、国立音楽大学付属幼稚園地下) 
186-0004 東京都国立市中1-8-25 TEL: 042-573-5633
参加費: 一般¥2000/学生¥1000 

■ 開会宣言 島岡譲(日本音楽理論研究会会長)

■ 3分プレゼンテーション(発表順) 

■ 発表150分): 
 川崎瑞穂 【研究報告】 「ロシア構造言語学と音楽分析 ―― 奥秩父山地の民俗音楽に関する音韻論的研究 ――」 

■ 発表250分): 
 池原舞 【研究報告】 「ストラヴィンスキー《結婚》」 

■ 会からの連絡

休憩15

■ ミニコンサート: =ロシア歌曲のひととき= (分析・解説資料配布) 
1. スクリャービン 《ロマンス》 (ca.1893) 
2. ラフマニノフ 《歌うな、美しき女よ》 Op.4 no.4 (1890-93) 
ソプラノ独唱: 小川えみ(本研究会専属歌手) ピアノ: 見上潤
 
■ 発表460分): 
 佐野光司 【研究報告】 「スクリャービンの神秘和音《交響曲第5番プロメテ》に至る過程」 

■ オープン・ディスカッション

■ 懇親会 (1800-) 参加費\2000

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※ 今後の活動予定 (開場はすべて「国立音がk大学AI(アイ)スタジオ」、参加費¥2000/学生¥1000

【予告なく日程・時間・内容等を変更する場合もありますので、常に最新情報をHPなどでご確認ください。】

☆ 25会例会 2014105日(日) 13301745

 =
大分県立芸術文化短期大学修了生による研究発表=
■ 「バルトーク研究~『ルーマニア民俗舞曲』sz.56の機能和声理論による分析」 石川智寛
■ 「ピアノソナタの分析~W.A.Mozart のピアノソナタ K.457 c moll 1楽章、第2楽章を例に~」 宮本鈴子
 =自作曲の分析=
■ 「自作曲の分析と、ブルーノート・ペンタトニックスケールについて」 平本幸生
■ 「自作作品の分析」 夏田昌和
■ 他未定
☆ 15会東京例会 20141213日(日) 13301745

■ 「オドエフスキーの神秘主義と音楽観 ――『ロシアの夜』第6夜をめぐって」 見上潤
■ 「「ゆれ」と「かげり」から見たChopinの「前奏曲集 作品28」 ―楽曲構造とピアニズムの分析― その2 (No.2,5,16,21)」 福田由紀子
■ タイトル未定(ベルクに関する発表) 今野哲也
■ 他未定

☆ 16回東京例会 2015329日(日) 13301745

■ 「ユーミンに関する発表(タイトル未定)」 寺内克久
■ 他未定

☆ 26回例会 2015517日(日) 13301745

※ 発表者募集中
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2014年3月21日金曜日

日本音楽理論研究会第14回東京例会 発表概要 寺内克久

The Beatlesの和声進行分析から、コード進行による作曲技法を考える」



イギリスのロックバンド、The Beatles(以下”ビートルズ”)の活動期間は1962年〜1970年のわずか8年であった。しかしその音楽的かつ商業的な成功は、ギネスワールドレコーズに「最も成功したグループアーティスト」と認定されており、様々な面において、その後のポピュラー音楽全般に新たな潮流を作り出した。

本発表では、ビートルズの全
213(公式/準公式アルバムより)のオリジナル楽曲から、特徴的な115例の和声進行を分類し、その和声進行の特徴の概略を紹介する。さらにその特徴を活用して、コード進行の枠組みを用いたポピュラー作曲技法の可能性を考え、ビートルズが残した音楽的遺産について和声面から言及する。

本発表で紹介するビートルズの楽曲例は、ハ長調の主要三和音を用いてト長調を作り出す《
A Hard Days Night》、長三和音の増四度進行と半音進行を組み合わせた和声進行を持つ《P.S. I Love You》、ポピュラー音楽において常套的和声進行である”ライン・クリシェ”を用いた例として《Something》、属七和音が連続する楽曲(変則ブルース的楽曲)の例として《Come Together》、CGDAの四つの長三和音が連鎖する《A Day In The Life》の五例である。

用意したその他全
115例は、ポピュラー楽理に興味のある方向けに全てエクセル表資料にまとめたので、あわせて検分頂きたい。

これらの例示する楽曲の和声進行について、ギターフレット
(指板)上での和音の押さえ方を用いて発表者が考えるビートルズ的和声進行作成の方法を示す。

そしてこの方法を活用し
C7sus4(構成音c-f-g-b)、Cm7(5)=7和音(構成音c-es-ges-b)Cdim(M7)=クリスタル和音(構成音c-es-ges-h)の三つの和音を各主題にして制作したポピュラー作品を提示する。

発表者はこうした「コード進行からのポピュラー楽曲作曲」の手法をビートルズ作品から学んできた。そしてこれらの和声進行を不定調性進行
(単純に調が定められない和声進行)と呼んでいるが、本発表で改めて「和声進行によるポピュラー作曲手法」についてその可能性を述べられればと考えている。

今回もまた、例示するポピュラー和声進行の事例や考え方等について、クラシック音楽の側から提言を頂ければ幸いである。

日本音楽理論研究会第14回東京例会 発表概要  大高誠二

「拍節の中の和声~「音の重なり」を超えて」

 和声は一般的に、ただ和音の連続として捉えられ、個々の和音がそれぞれ長さを持っていることがあまり意識されていないように思われる。だが、例えばアルペジオを1つの和音とみなすことができるのはなぜだろうか?それは、ある範囲にある音を合計して捉えているからである。我々は「音の重なり」としての和音の連続で和声理論を理解し、多くの音楽現象をこのモデルに還元して捉えている。

 だがこの還元は、実際には多くの前提を必要とする。我々は経験と勘によって容易くこの還元を行うが、その前提が意識されることは稀である。1つの例を挙げよう。アルペジオの形でトニックの直後にドミナントの根音が続くような場合、なぜドミナントの根音はトニックの5度音とみなされないのか。おそらく、そこで和音が変わったという認識を我々に与えている別の要因がある。発表者はこの第一の要因として拍節()を考える。和声が小節ごと、あるいは拍ごとに変わるのは、和声の変化が拍節の変わり目で起こるためである。

 本発表では、以上の考えを推し進め、拍節の側からの和声の新たな見方を提案し、「音の重なり」として和音を捉えることで隠されてしまう前提を炙り出し、和音概念の深化を目指す。この提案はまた、拍節を捉えるための、音の強弱以外による視点の探索の意義も持つものだ。拍節が和声に影響を与えているとすれば、それは強拍の周期的な回帰といった伝統的な拍節概念に重要な楔を打ち込むことになるからである。なお、分析素材としてバッハのフーガを用いる予定である。


(本発表では、小節、拍、拍の部分、あるいは複数の小節からなる高次小節などの構造を一般的に拍節と呼ぶ。)

日本音楽理論研究会第14回東京例会 発表概要  稲森訓敏

「「音楽のリズム」━マティス・リュシーとあなたの《演奏・指導》を変える彼の実用的リズム理論━」

 今から約140年位前、ヨーロッパにおいて、当時の演奏家たち(リスト、ニコライ・ルービンシュタイン、ハンス・フォン・ビューロー等)の演奏に多大な影響を与えた、マティス・リュシーの簡単な紹介と彼の実用的リズム理論について発表を行いたいと思います。今回は彼の実用的リズム理論の解説と実用性の証明のためのピアノ演奏による実演も同時に行います。なおこの理論はリュシーの画期的な理論「音楽表現概論」の中の一部の理論で「音楽表現概論」の発表はまた日を改めて発表させていただきたいと思います。

 マティス・リュシーは1828年スイスに生まれ、日本ではほとんど知られていませんが、ダルクローズの師であり、パリのコンセルヴァトアールの教師もしていて、ピアニストのコルトーなども彼の教えを直接受けた生徒の一人です。生涯に「ピアノ教育法の改革」「音楽表現概論」「音楽のリズム」「近代音楽におけるアナクルーズ」「記譜法の歴史」「ベートーベンの悲愴ソナタ」等の著書を残し、生涯、リズムと表現の理論を探求し191082才で亡くなりました。


 彼のリズム理論の特徴はその実用性にあり、この理論は演奏のために生み出されたもので作曲のためではありません。実用性を具体的に説明しますと、まず曲のフレージングを行い、その後3つのアクセント(メトリックアクセント、リズムアクセント、パセティックアクセント)を記入し、その分析結果を基に表現を完成させるという非常に単純な方法です。ただ方法は単純ですが、フレージングの分析にも分析のための法則があり、アクセントの分析にも分析のための法則あり、この法則こそがリュシーの理論の最大の特徴であり、これが我々の演奏を変化させる最大のカギなのです。

今回の発表ではこれらの法則を用いて曲を分析し、その分析結果を基に表現を作ってゆく実演を行います。これによってリュシーメソッドの全体を理解していただけたら幸いです。

日本音楽理論研究会第14回東京例会(3月30日)開催のお知らせ

Announcements: The 14th meeting of SMTJ Tokyo branch /30. March 2014/

関係者各位

暦は春分。こちら東京はようやく寒さが緩んできておりますが、みなさまはいかがお過ごしでしょうか?
毎度お馴染み、日本音楽理論研究会から第14回東京例会のお知らせです。

今回の発表は、イタリアオペラ、ビートルズに関する発表の他、リズム論に関する発表が2件、の合計4件です。また、初の試みとして、限られた時間で主張の要点を最初にはっきり提示していただけるようにと、例会の“目次”にあたる“3分プレゼン”を導入しました。発表概要は順次ホームページ等で発表の予定です。
みなさまの奮ってのご参加をお待ちしております。

なお、当日資料準備のため、ご出席の場合はご一報いただければありがたく存じます。
また、研究会終了後の、「シュベール国立店」で行なわれる懇親会は毎回議論が白熱しております。
こちらからのご参加も歓迎いたします。

★★★ 日本音楽理論研究会第14回東京例会のお知らせ ★★★

日時: 2014330日(日)13:25-17:50 (1310 受付開始) 
【開始時間に注意! 5分早くなっています!】

会場: 国立音楽大学AI(アイ)スタジオ 
(JR国立駅南口下車、国立音楽大学付属幼稚園地下) 
186-0004 東京都国立市中1-8-25 TEL: 042-573-5633
参加費: 一般¥2000/学生¥1000 

■ 開会宣言 島岡譲(日本音楽理論研究会会長)
 
■ 3分プレゼンテーション(発表順) 

■ 発表135分): 
阿久津東進 【研究報告】「イタリアオペラはなぜ面白い?~イタリア語を知らなくても楽しめるその秘密を探る~レオンカヴァッロ《道化師》を題材にして」  ソプラノ独唱: 小川えみ ピアノ: 見上潤

■ 発表250分): 
寺内克久 【研究報告】「The Beatlesの和声進行分析から、コード進行による作曲技法を考える」 

■ 会からの連絡+休憩

■ 発表330分): 
大高誠二 【研究報告】「拍節の中の和声~「音の重なり」を超えて」
 
■ 発表450分): 
稲森訓敏 【特別講義】「「音楽のリズム」━マティス・リュシーとあなたの《演奏・指導》を変える彼の実用的リズム理論━」

■ ディスカッション

■ 懇親会 (1800-) 参加費\2000


※ 今後の活動予定 (会場はすべて「国立音楽大学AI(アイ)スタジオ」、参加費 ¥2000/学生¥1000) 

☆ 第24回例会 2014518日(日) 13301740

■ 「オドエフスキーの神秘主義と音楽観――『ロシアの夜』第6夜をめぐって」 見上潤
■ 「ストラヴィンスキー《結婚》」 池原舞
■ 「スクリャービンの神秘和音について(作品5257、他)」 佐野光司

☆ 第25会例会 2014105日(日) 13301745
■ 大分県立芸術文化短期大学卒業生による研究発表
■ 「自作作品の分析」 夏田昌和
■ 他未定

☆ 第15会東京例会 20141213日(日) 13301745
※ 発表者募集中

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