2012年4月13日金曜日

日本音楽理論研究会第20回例会(5月13日)開催のお知らせ

Announcements
The 10th meeting of SMTJ Tokyo branch
25. March 2012

関係者各位

例年よりも遅く東京は桜がようやく散り始めました。みなさまはいかがお過ごしでしょうか?
シューベルト《冬の旅》特集2回目の第10回東京例会のお知らせです。

午前は、研究会メンバーによる《冬の旅》の演奏。午後は、ギリシャ神話の壮大なスケールのスペクタキュラーな裏物語が隠されていたことを解明する発表と、19回例会の島岡先生の発表の続きです。
みなさまの奮ってのご参加をお待ちしております。

なお、当日資料準備のため、ご出席の場合はご一報いただければありがたく存じます。
また研究会終了後、「シュベール国立店」で行なわれる懇親会は毎回議論が白熱しております。
こちらからのご参加も歓迎いたします。

★★★ 日本音楽理論研究会第20回例会のお知らせ ★★★

日時: 2012年5月13日(日)10:30-17:40 (10:10 受付開始)
会場: 国立音楽大学AI(アイ)スタジオ (JR国立駅南口下車、国立音楽大学付属幼稚園地下) 
〒186-0004 東京都国立市中1-8-25 TEL: 042-573-5633
参加費: 一般¥2000/学生¥1000 (午前・午後通し)

――続・詩と音楽から読み解くシューベルト《冬の旅》――

■ (10:30-) 特別演奏: Schubert 《Winterreise》 ソプラノ独唱: 小川えみ ピアノ: 見上潤 
■ (13:30-) 「シューベルト『冬の旅』の裏物語--冥界のヘルメス」 浅田秀子
■ (16:00-) 「続・音楽の言葉で読み解くシューベルト《冬の旅》」(第19回例会の続き) 島岡譲

※ 今後の活動予定 (会場はすべて「国立音楽大学AI(アイ)スタジオ」、参加費 ¥2000/学生¥1000) 

★ 第21回例会(10周年) 2012年10月7日(日) 13:30-17:40
川崎瑞穂 「洋楽渡来と野生の思考(パンセ・ソバージュ) ―洋楽流入期における民俗的思考に関する構造人類学的研究―」
川本聡胤 「プログレッシヴ・ロックの研究 ~ELP《タルカス》の分析~」

☆ 第11回東京例会 2012年12月16日(日) 12:30-17:40 ベートーヴェン特集
■ (12:30-) 「単純な和声に支えられた単純な動機から作りだす壮大な展開(ドラマ)」 大野聡
■ (15:00-) 「ベートーヴェンの新しい道」 佐野光司

☆ 第12回東京例会 2013年3月24日(日) 13:30-17:30 
「続・シューベルト『冬の旅』の裏物語--冥界のヘルメス」 浅田秀子

Tokyo branch of THE SOCIETY FOR MUSIC THEORY OF JAPAN
日本音楽理論研究会東京支部 (見上潤 Mikami Jun)
ブログ: The Society For Music Theory Of Japan, Tokyo http://smtjt.blogspot.com/
ホームページ: http://www.geocities.jp/dolcecanto2003jp/SMTJ/index.htm 

Secretariat of THE SOCIETY FOR MUSIC THEORY OF JAPAN
日本音楽理論研究会事務局(本部)
ホームページ:http://sound.jp/mtsj/
〒870-0833 大分市上野丘東1-11 大分県立芸術文化短期大学音楽科 小川研究室気付 
TEL &FAX 097-545-4429
Email: ogawa@oita-pjc.ac.jp
本部facebook: http://www.facebook.com/groups/205456326182727/

第20回例会発表概要 浅田秀子

2012年5月13日(日)に行なわれる日本音楽理論研究会第20回例会の発表概要、浅田秀子さんの発表の紹介です。

【タイトル】「シューベルト『冬の旅』の裏物語--冥界のヘルメス」

【概要】ヴィルヘルム・ミュラー作詩、フランツ・シューベルト作曲の歌曲集「冬の旅」は、これまで詩の内容が暗くて変化に乏しく、意味不明の言葉や表現があって「難解」と思われており、解釈者によってさまざまな憶測や自由連想を生む原因となってきた。

しかし、この「難解」な原詩は、実は表面上の単調で月並みな物語の裏に、発音の類似した語句を掛詞ないし地口のように使って、まったく別の物語を隠していたのである。裏物語のためにその発音の語を使わなければならないという制約から、意味的に不自然だったり押韻の規則を破ったりせざるを得なかったわけで、ミュラーが3流詩人だからいい加減な詩しか書けなかったという批判は不当そのものである。

その隠された裏物語とは、ギリシャ神話世界である。主人公は旅・交易・盗みの神ヘルメスで、冥界の王ハーデスに誘拐されて女王となっているペルセポネに冥界へ求婚しに行き、一度は連れ帰ることができたが、結局去勢され重傷を負って、オリュンポス3大神に見取られながら死んでしまい、死後エリュシオンの野に再生すること、そしてヘルメスのより古い神話での神プリアポスとヘルメー像の中で合体するという、神話世界の歴史を往還する壮大のスケールのスペクタキュラーな物語である。

今回の発表では、まずタイトルがなぜ「冬の旅」なのか、という点から出発する。ミュラーの詩の下敷きとなったウーラント作詩、クロイツァー作曲の「9つのさすらいのうた」を紹介するとともに、この第8曲から本歌取りされて「冬の旅」ができていること、ウーラントの詩自体もギリシャ神話に基づいていることを説明する。

次に、「冬の旅」に関連の深いギリシャ神話を資料とともに紹介し、予備知識を得たところで、第1曲から順に「冬の旅」の裏物語を、時間の許すかぎりたどっていくことになる。

内容は主に原詩についての解釈で、シューベルトの改変や作曲にもヒントをもらいながら、ミュラーの表そうとした詩世界の玄妙さを受講者の方にもぜひ味わっていただきたいと思う。

【担当】日本語コスモス代表、日本大学非常勤講師 浅田秀子(辞書編集者、日本語研究者、日本語教師、メゾ・ソプラノ歌手)